2023-08-07
産業用ロボットは自動車産業で40年以上の歴史があります。現在でも産業用ロボットの導入実績は安川電機が50％以上を占めており、溶接、組立、塗装などあらゆる工程でロボットが活用されています。
例えば、自動車の車体下面やマフラー、シートフレームなどにはアーク溶接ロボットが、車体側面や天井などの接合にはスポット溶接ロボットが、塗装には塗装ロボットが、シートや窓の取り付けにはハンドリングロボットが使われています。 。特に自動車工場のメインラインでは、何台ものスポット溶接ロボットがボディを取り囲んで一斉に溶接する光景が印象的です。
近年、欧米を中心とした環境規制の強化やエコ意識の高まりにより、電気自動車（EV）やハイブリッド電気自動車（HEV）、燃料電池車（FCV）が普及しています。 。これらの低燃費性能を実現するために、ボディ材質を鋼板から軽量で高機能なアルミや高張力鋼板に変更しました。大容量電池の生産には新たな技術も必要であり、安川電機はこうした技術動向に対応した新製品や用途の開発に取り組んでいます。
電気・電子機器は、Communication、Computer、Consumer Electronicsの頭文字をとって「3C」とも呼ばれます。産業用ロボットは、電気・電子機器を製造するさまざまな工程でも使用されています。
例えば、電子回路基板への小型電子部品の実装、機器を収納する筐体の溶接や塗装、筐体への基板や部品の実装などです。産業用ロボットは、上流の生産から下流の完成品の検査、梱包された製品の箱やパレットへの梱包など、下流の検査・出荷までのほぼすべての工程で活躍しています。
電気・電子機器製品は小型のものが多く、生産工程が密集しているため、従来の産業用ロボットの適用は困難です。しかし、人と一緒に・そばで作業できる協働ロボットの登場により、これらの問題は克服され、応用範囲が広がりつつあります。
FPD用の薄いガラス板（ガラス基板）は、パソコンやスマートフォン、薄型テレビなどに使われています。ガラス基板上にパターンやフィルターを印刷するには、さまざまなプロセスが使用されます。この工程では、ガラス基板の搬送や処理装置への搬入出には産業用ロボットが使用されます。
FPDの製造工程では、大型のガラス基板（厚さ数ミリ程度、大型のFPDでは3メートル×3メートル以上）が使用されます。このため、このような重くてたわみやすいガラス基板を高速で搬送できるロボットが求められています。また、微量の塵や埃が品質に直結するため、工場環境は非常にクリーンであり、ロボット自体も微量の塵や埃を排出しない高いクリーン度が求められます。 。
半導体の製造工程では、高純度のシリコン単結晶からなる薄い円盤状のシリコンウェーハが加工されます。シリコンウエハー上に薄膜層の形成、回路パターンの転写、エッチング、洗浄、検査などの工程を繰り返すことで、ダイと呼ばれる半導体チップが形成されます。1 枚のシリコン ウェーハ上に何百ものダイが形成されます。シリコンウェーハ上のダイは 1 つずつ切断され、パッケージ化され、最終的に検査されます。
これらの各プロセスの製造装置へのシリコンウェーハの搬入出には産業用ロボットが使用されます。当然のことですが、転送が早ければ早いほど、より多くの量を生産でき、コストが下がります。しかし、半導体製造では非常に高い精度が要求されるため、絶対位置精度が0.05mmと高い性能を持っています。また、FPDの製造工程と同様に塵埃が製品の品質に直接影響するため、工場内は非常にクリーンに保たれています。
研究所や製薬の現場では、分析や品質検査などの工程があります。しかし、使用する機器の種類が多く、作業者に熟練が必要であり、衛生管理の元で使用できる産業用ロボットがなかったため、自動化が遅れていました。
そこで安川電機は、衛生管理のもとで高精度に動作するバイオメディカル用途のロボットを開発しました。実験や分析の前処理、抗がん剤の調製、各種細菌の検査などの分野で自動化の範囲を広げています。検査前の試薬調製において、単純な前処理作業が産業用ロボットに置き換えられ、人的作業が不要になれば、研究者は本来の作業そのものに集中でき、効率が大幅に向上します。抗がん剤などの危険な薬剤を避けることで安全性を確保できます。これに加えて、iPS 細胞は培養され、ゲノム解析のために前処理され、微生物の存在について検査されます。
産業用ロボット本体の表面は滑らかで、過酸化水素水で拭いて掃除することができ、人間と同じように両腕で作業できるモデルや片腕モデルも用意しています。
食品工場では通常、食品の製造のほかに、包装、ラベル貼り、検査、出荷用の段ボール箱詰め、段ボール箱への積み込みなどさまざまな工程があります。特にロボットは、直接口に入れるものを扱うため、食品そのものの加工工程に特殊な仕様が求められます。例えば、お手入れが簡単で衛生的に保てる表面コーティングや、口に入れても無害な食品機械用素材などを採用しています。また、水がかかる環境では防滴・防錆対策が必要となる場合があります。
例えば、板状のチョコレートを大量に生産する工場では、大量のチョコレートが分解された状態で高速でコンベアに運ばれます。そのため、コンベア上のチョコレートをカメラで検出し、移動するチョコレートを正確に把握できるロボットが必要となる。そのためにパラレルリンクと呼ばれる独自の構造を採用しています。
近年、中食市場の拡大に伴い、スーパーやコンビニエンスストアの一部では、既製品の弁当や総菜を詰め物や蓋に使用するケースが増えています。協働ロボットは作業者の隣にトレイを運ぶことができ、安全柵を設置できない限られたスペースにも設置できます。これらのロボットは将来的に広く活用されることが期待されています。
ECサイトなどのオンラインショッピングの普及に伴い、物流倉庫や食品倉庫などでカートンの仕分けや搬送を行うハンドリングロボットの需要が急増しています。ダンボールの積み上げ作業や積んだダンボールの積み下ろし作業に限界があるため、特殊構造モデルを開発しました。物流倉庫では、サイズの異なる大量の荷物を迅速に仕分けることも求められています。この目的のために、当社はパートナーと協力して、CAD ベースのソフトウェアを使用してコントローラーのサイズを瞬時に判断するためのテクノロジーの開発に取り組んでいます。
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